一般的な家庭と比較して、ひとり親世帯は収入が低いと言われています。特にシングルマザーはパート・アルバイト勤務の方が4割に上り、その生活は不安定です。
少しでも収入を上げるための方法の1つが資格を取ること!中でも国家資格を取れば、子供がいても圧倒的に就職がしやすくなるはずです。
そんな国家資格を取りたいシングルマザーやシングルファーザーを支援するための「高等職業訓練促進給付金」という制度をご存知ですか?
この制度を利用すれば、国からお金をもらいながら看護師や介護福祉士などの国家資格の勉強をすることができるんです!
「看護師などの資格を取りたいけれど費用面で取得できない‥」そんな風に思っていた方は、是非CHECKしてみてください!
最後には毎年何人くらいのひとり親が、この給付金を活用して国家資格を取得しているのかもご紹介します。
目次
シングルマザーの平均収入は低い
シングルマザーの平均収入は低いのが現実です。厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」によると、シングルマザーとシングルファーザーの年収や雇用状況は以下のようになっています。
シングルマザー | シングルファーザー | |
平均年間収入 | 243万円 | 420万円 |
就業者のうち正規の職員・従業員 | 44.2% | 68.2% |
パート・アルバイトなど | 43.8% | 6.4% |
自営業 | 3.4% | 18.2% |
(厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」をもとに作成)
シングルマザーではパート・アルバイトとして就業している人が43.8%にも上ります。この状況を踏まえ、国としても少しでも収入の高い就業を可能にするための支援を行なっているんです。
高等職業訓練促進給付金って?
その就業支援の1つが「高等職業訓練促進給付金」です。この給付金は以下のような目的で作られています。
母子家庭の母又は父子家庭の父の就職を容易にするために必要な資格の取得を促進するため、当該資格に係る養成訓練の 受講期間について給付金を支給することにより、生活の負担の軽減を図り、資格取得を容易にすることを目的とする。 (厚生労働省)
要は資格取得の勉強をしている間は、働ける時間も少なくなるので生活の負担を減らせるようにお金を支給してくれるということです。
対象者は?
給付金の対象者は養成機関で資格の勉強を始めた日以降に、以下の要件をいずれも満たすことが必要です。
- 児童扶養手当の支給を受けているか又は同等の所得水準にある
- 養成機関において1年以上のカリキュラムを修業し、対象資格の取得が見込まれる者である
つまり、シングルマザーやシングルファーザーでも所得が高く、児童扶養手当の対象になっていない方はこの給付金は利用できないということです。
加えて児童扶養手当の受給者であるからといって、100%この給付金を受給できるとは限りません。自治体の審査が必要です。
支給額は?
次に気になる支給額を見ていきます。
【支給対象期間】養成機関で勉強している期間(上限4年)
【支給額】住民税非課税世帯は月額10万円、住民税課税世帯は7万500円(さらに修学の最終年度は支給額に4万円加算)
非常に大きい額を支給してくださいます。特に最後の年度は通常の支給額に4万円も加算されるので、非常に助かります。
例えば看護師の資格を取ろうと思うと、3、4年は学校に通って試験に合格する必要があります。給付金による金銭面での支援があれば頑張れそうですよね。
対象資格は?
では、どのような国家資格を取りたい人が高等職業訓練促進給付金の対象になるのでしょうか。実は各都道府県で地域の実情に応じて決めているので、自治体によって異なります。
大体以下のような資格が対象になっていることが多いです。
看護師・准看護師・介護福祉士・保育士・理学療法士・作業療法士・保健師・助産師・理容師・美容師・歯科衛生士・製菓衛生師・調理師等
詳細は「お住まいの自治体名 高等職業訓練促進給付金」で検索してみてください。対象の資格が出てくるはずです。
看護師のほか、介護福祉士や保育士なども社会的ニーズが高いお仕事ですよね。資格を取れば、勤務先を選ばない職業とも言えるかもしれません。
修了時もお金がもらえる
この給付金に関連して「高等職業訓練修了支援給付金」もあります。これは資格を勉強する養成機関を修了した際にもらえるもので、
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住民税非課税世帯は50,000円、住民税課税世帯は25,000円が支給されます。
どうやったら受給できるの?
看護師などの資格取得を目指し、高等職業訓練促進給付金を受給したい場合はどうすれば良いのでしょうか。
step
1自治体のホームページで対象資格を確認!
step
2取りたい資格があれば自治体の担当課にまずは相談しましょう!
高等職業訓練促進給付金の実施主体は都道府県・市区・福祉事務所設置町村なので、お住まいの自治体に確認するのが最も正確な情報を入手する近道です。
合わせて利用したい制度
高等職業訓練促進給付金を利用する人には、もう一つ利用できる制度があります。それが「ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業」(資料のp46参照)。
高等職業訓練促進給付金を活用して学校で勉強するひとり親家庭に対し、入学準備金や就職準備金を貸してくれる制度なんですが、この貸付金は要件を満たせば返済免除になるんです。
貸付額
- 養成機関への入学時に、入学準備金として50万円を貸付
- 養成機関を修了し、かつ、資格を取得した場合に、就職準備金として20万円を貸付
※無利子(保証人がいなければ有利子)
合計70万円の貸付を無利子で受けることができます。
この貸付金の返済が免除になる場合がこちらです。
返済免除の場合
貸付を受けた者が、養成機関の修了から1年以内に資格を活かして就職し、貸付を受けた都道府県又は指定都市の区域内等 において、5年間引き続きその職に従事したときは貸付金の返還を免除する。
例として青森県で介護福祉士の資格をとった人を挙げると、学校修了から1年以内に青森県で介護福祉士の資格が必要な仕事に就き、そのまま5年間青森県で介護福祉士の仕事を続けるだけで返済が免除になるという訳です。
是非とも利用したい制度です。
資格をとった人がこれだけいる!
厚生労働省によると、平成30年度に高等職業訓練促進給付金を活用して資格を取得した人は2647人もいます。このうち就業に結びついた人が2106人です。
2647人の方が取得した資格はこちらです。
資格取得者数 | |
看護師 | 1127人 |
准看護師 | 1016人 |
保育士 | 154人 |
介護福祉士 | 50人 |
作業療法士 | 31人 |
理学療法士 | 15人 |
歯科衛生士 | 42人 |
美容師 | 49人 |
社会福祉士 | 50人 |
その他 | 113人 |
(厚生労働省の資料をもとに作成)
看護師・准看護師が圧倒的に多いですが、他の資格も満遍なく取得者がいます。毎年大体2500人のシングルマザーやシングルファーザーがこの給付金を利用して、資格を取得できています。
やはり、国家資格を取得するということは安定した生活への一つの道です。
「パート勤務で将来が不安だ」
「経済的な安定が欲しい」
そんなシングルマザーやシングルファーザーは「高等職業訓練促進給付金」を活用した国家資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。
まずはお住まいの自治体に相談してみてください。